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宇宙飛行士になれる人を知ったら映画『オデッセイ』をより理解できた話

マット・デイモン演じる宇宙飛行士が火星にひとり取り残される映画『オデッセイ』がありますが、ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)という本を読んだら、より『オデッセイ』の理解が深まりましたので考察していきます。

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火星に置き去りにされたマーク・ワトニーが前向きだったワケ

まず、宇宙飛行士になる人は選抜試験に合格する必要があります。数十億の人類の中から最終的に選ばれるのはたった数人。いったいどんな人が選ばれるのでしょう?

 

宇宙飛行士に選ばれやすいのはどの国でも航空パイロットが多い傾向にあり、医者や学者・研究者・技術者など専門職のキャリアがあること、英会話ができること、心身ともに健康であることは前提条件です。

日本宇宙航空宇宙開発機構JAXAが2008年に募集した日本人宇宙飛行士の条件は「自然科学系の大学を卒業し、実務経験が3年以上あること」でした。

宇宙に行くわけですから、とりわけ科学知識を備えている必要があることは理解できますね。

 

ですが宇宙飛行士に最も必要なのは、命を落とす危険と隣り合わせである覚悟と、アポロ13号で起きたような不意の事故に冷静に対処できる問題解決力、それに加えて諦めない心や不動心といったメンタリティが重視されるのです。

NASAが求めているのは「諦めたら試合終了」のマインドが染みついている人。

 

それを知ったとき、マーク・ワトニーが「ここで死ぬもんか」と前向きだったワケがわかりました。

この映画はポジティブだなと単純に思っていたら、そうではなく、簡単に絶望するような人を宇宙飛行士に選ぶはずがなかったのです。ましてや月でも国際宇宙ステーションでもなく、地球から遠く離れた火星に行く人間だったら尚のことでしょう。

 

クルーが火星まで救出に引き返したのは本物の友情だった

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火星ミッションのクルーたちは映画の冒頭から仲が良い印象で、マーク・ワトニーを火星救出に引き返すかを採決した際も迷うことなく全員一致で引き返す決断をしました。全員が再会するクライマックスも彼らの友情に泣きましたw

 

少し考えればわかりますが、宇宙に出ると閉鎖された空間内で長期間他人と共存するため、コミュニケーション能力の高さや社交性・協調性等も宇宙飛行士になる条件に含まれています。NASAは「ユーモアは大事」と言っているぐらいで、マークとマルティネスも皮肉を言い合ってジャレていましたね。

 

宇宙飛行士が宇宙で一人になれるのは基本的にトイレか狭いベッドルームのみ。あるいは宇宙ミッションにおいて一人で作業するとき。

多くの時間をクルーと共にするため、宇宙で共に過ごすメンバーが決まると宇宙飛行の2年前から共同生活を送り、気心の知れた状態で宇宙に行くことになっています。

 

その舞台裏を知らない人だと、映画の中でマーク救出に引き返すクルーたちの決断は責任感や義務感・同情心からではないかと思ってしまうかもしれませんが、地球にいる頃から共同生活を送ってきたメンバーはおそらく家族のような存在でもあり、そもそも友愛精神のない人間を始めから宇宙飛行士に選ぶことはあり得ないのです。

 

火星での作物栽培は人類の夢

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火星に取り残されたマーク・ワトニーは植物学者という設定でした。そのおかげで火星でじゃがいもを栽培することに成功し、自身の延命措置をとりました。

仮に月に行くミッションだったならば植物学者は不要だったかもしれません。火星だったからこそ植物学者を宇宙飛行士にしたのでしょう。

 

宇宙飛行士は宇宙に何しに行くか知っていますか?無重力空間をすいすい泳いだり回転するためではありませんw

一つは宇宙科学実験のためです。研究機関から依頼された様々な実験を宇宙で遂行します。人類の将来の宇宙進出を想定して、例えば「宇宙で生物の細胞がどのように分裂・生長するのか」「タンパク質など薬の原料となる物質がどのような特性を示すのか」といったもの。

なにより宇宙飛行士自身が「宇宙に行った際の人間」の人体実験になります。

 

そして火星で作物栽培することは火星移住をもくろむ人類の夢ですから、マーク・ワトニーは映画の中でその夢(思考実験)を実現させてくれました。

けれど、現実的には火星では水耕栽培の方が成功率が高めで、模擬的な火星の土壌で作物を温室栽培する実験は成功しているものの、火星での食料自給率の向上は難易度が高く、仮に人類が火星移住しても食料の大部分を地球からの補給に頼ることになるようです。

 

 以上、考察おわり。

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